2011年11月25日

「聞いたら怒られる」と思っていたんだ・・・・

JR中野駅。乗り換えついでにキオスクで飲み物を買っていたら

背後で「ジャマなんだよ、ババア!」と怒声がして、ビクッと振り返ってしまいました。

怒鳴られていたのは、大きな荷物を引きながら右往左往していた年配の女性。

たしかに、乗り換え客でごった返す駅のコンコースで、人の流れに乗れずにキャスター付きのバッグをずるずる引きずりまわしている様子は危なっかしい限りですが、

おそらく地方から出てこられたのでしょう、

電光掲示の案内を見ても、何番線に向かえば良いのか迷っているようです。

思わず「どちらに行かれるんですか?」と声を掛け、

「あぁ、西荻窪でしたら、このエスカレーターを上がって6番線に来た最初の電車に乗ってください。その次の電車は、西荻窪には止まらないので気をつけて」

と、案内しました。

親切とか思いやりとか、そういう次元ではないんですよね。

旅好きだった私は、国内外問わず各地で、そのおばさんと同じような状況に置かれ、

行き先が分からずオロオロしていたことなど数知れず、

で、そういう時には見知らぬ人から「どちらまで?」とか“Can I help you ?” と声を掛けてもらい、助けられてきました。

そんな経験をした町は、なんとなく良い街に来たと思うし、好きになるけれど、

嫌な思いをすると、ずっとそこは、嫌な場所になり続ける。

あのおばあさんにとって東京が、怒鳴りつけられた嫌な場所ではなく、ほんのちょっぴりでもホッとした思い出とともに記憶に残ってもらえたらな。

で、そんな出来事でふと頭をよぎったのが

うちのSSTグループ指導をしているスタッフから聞いた話。

「話の内容が分からなかったり、聞き洩らしたりしたときに、相手に何と言って聞き直したり質問したりしたらいいと思う?」という問いかけに、

参加していた子どもたちが「えっ、聞いていいの?!」と、びっくりしていたというのです。

なんで聞き直したらいけないと思うのか尋ねると

「だって、怒られるよ」という返事。

生まれてからまだ10年も経たない間に、この子たちは

「聞き返したら怒られる」という体験を、それぞれに重ねてきたんですね。

「えっ、何?」って聞き直したり、一度話されたことの意味が分からなくて「○○はどうするんですか?」って質問したりすると、「だから今、言ったでしょ!」とか「ちゃんと聞いてないからわからないんでしょ」って言われてしまう。そういう光景は、学校の教室でも結構見られます。

例えば相手が外国人だったら、「言葉が伝わらなかったんだな」と、もう一度言いなおしたり、易しい表現で言い換えることを、私たちは自然にやると思うんですが、

同じような環境で育ち、同じ時間を共に過ごしている集団の中に、聞くことが苦手で、聞いた情報を処理しきれなかったり、内容を理解しきれなくて困っている人がいても全然おかしくないということを、私たちは忘れがちです。

慌ただしい都会の駅のように、時間に余裕がなかったり、自分の行き先だけに気を取られている人は、行く手を遮るような行動をする人にイラっとしてしまう。

同じように、いま言ったばかりのことをそのまんま聞かれたり、先を進めたいのを遮るような聞き返しをされると、大人はつい「ちゃんときいてないからでしょ!」って思ってしまう。それもよくわかります。

でも、子どもたちの「聞いたら怒られる」という言葉にハッとしたのは、

だから彼らは、わからなくて固まってしまったり、ただオロオロしていたり、見当はずれな行動をとって失敗したり、はたまた、わからないからふざけて別のことをしたりして、余計に怒られる羽目に陥ってしまうのではないか、と思ったのです。

極端な話、「聞いてないからわからない」のではなく、「わからないから聞けない」ともいえます。

そんな子どもたちには、

「もう一回言うから、良く聞いてね」と繰り返すとか

「それは、○○するという意味だよ」と易しく言い換えるとか、

小さなことでも、彼らには大きな支援であり、成長のチャンスです。

子どもたちが

「聞いていいんだ」

と思える幼稚園や学校、あるいはご家庭の雰囲気を、作れたらなと思います。

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優先席が居眠りサラリーマンに占拠されている東京の通勤電車も、やさしくないなぁと思う今日この頃です。

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posted by はるえもん at 19:08| Comment(4) | TrackBack(0) | (旧)子どもの気持ち | 更新情報をチェックする

2010年02月17日

もう一つの『苦手攻略大作戦』

「あのさ、ほら、船とかから、カチカチ光、やるやつ、あれ、ほら・・・・」

と、Bくんが何かを言わんとしているのだけど、要領を得ません。

「灯台?」

「ちがう、じゃなくて、あれだよ、ほら・・・」

「ごめん。わからない・・・」

するとBくんは、「先生、紙かして」と言って、絵を描きながら

「こうやって、光で、“バカ”とか送るんだよ」

「あー、わかった! モールス信号だ」

(私は知らなかったのですが、「ポニョ」にそういうシーンがあるらしいです)

モールス信号はさておき、そんな出来事があった昨日、私はあることに気付いてちょっと感激していたのでした。

言葉でうまく説明できないBくん、思うように伝わらないと決まって、「もう、いい!」と諦めてしまう子でした。

その彼が、自分から紙に絵を描いて伝えようとしたことが、すごく私には嬉しかったのです。

実は、遡ること3カ月、昨年秋に私は、Bくんの「自分説明書」というものを作りました。

内容は、言ってみればBくん専用の『苦手攻略大作戦』。

作り始めたら、ついつい凝りすぎてしまって、我ながら自信作♪

「これはね、先生がBくんのために心をこめて作った、世界にたった1冊しかない本だよ」

と、ちょっと大げさに、いかにもありがたいもののように、恭しくそれを手渡し、一緒に読んであげると、Bくんは食い入るように見ていました。

今年に入って、Bくんの学習に取り組む態度がずいぶん変わってきたと、感じていました。以前はアンダンテにも半ば嫌々通っていて、80分の授業時間を最後までいることができず、いつも逃げるように帰って行ったのに、最近は時間いっぱいまで頑張って、「さようならー!」とあいさつして帰ります・・・(!) 

読んだ本やテレビで知ったことをよく話してくれるし、問題がわからなくてもカッとならずに、もう一度説明を聞けるようにもなりました。

気のせいかな~と、思ってはいたのですが、昨日のことで確信しました。

たぶん、きっと、Bくんは、3か月前に渡した「作戦」を心のどこかで意識してくれているのだ、と。

そうだよね。

「うまく話せなくて、あせったときは・・・・→ ・紙に書いたり手紙にする。 ・実物や写真、絵を見せながら話す」

って、きみの作戦の中に、ちゃんと入ってるもんね。

読んであげた時、Bくんが「ふつうなんだ」とつぶやいたのを、忘れません。ずっと、みんなにできることが自分にできなくて自信がなく、「どうせぼくはバカだ」と自暴自棄な気持ちを、抱え続けていたのかもしれません。

でも、苦手なこともあるけれど大丈夫なんだと、そう感じてくれただけでも、作ったかいがありました。

春休みにアンダンテで、「ぼく・わたしの苦手攻略大作戦を作ろう」という企画を考えています。

えぇ、もちろん、本はるえ先生とドクターMの苦手攻略大作戦―発達障害のある子にもない子にも役に立つを売るためです!(笑) 

*<はるえ先生とドクターMの苦手攻略大作戦>(教育出版) 書店にて好評発売中♪*

でも、それだけでなくて、参加してくれた子どもたちに、「ぼくも・わたしも、大丈夫なんだ」という自信と、自分で自分のために作った「作戦」を持って帰ってもらいたいと思います。

(企画の詳細は、後日アンダンテのウェブサイトでお知らせします。)

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テレビの線を抜いたら、ずいぶん時間に余裕ができました。でも、オリンピックが始まったので、また線を挿しました。

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2010年02月11日

この実話は、きっとどの学校にも。~書籍紹介「うちの子はADHD」~

もうだいぶ前のことですが、ある教員研修で「保護者への対応のしかた」というテーマの講座を受け持ったことがあります。

どこの地域でもたいがい、似たような研修をやっているようですね。

「そんな話、私できません・・・」と、依頼を受けた時は申し上げたのですが、発達障害のお子さんへの親御さんに対してどのように対応するか悩んでいる先生がたくさんいるので・・・・云々の説得もあり、断れるような状況でもなかったこともあり、お引き受けしました。案の定、大した話もできなかったと反省いっぱいの苦い体験ではありますが、最近ときどき、その時に引っかかった感覚が、再び胸をよぎります。

参加していた先生方に、気がかりな子の親御さんにお話しするとき心がけていることを書いてもらったところ

「事実のみを、ありのまま話す」

という回答が挙がりました。

何人かの先生が、同じようなことを書いていらっしゃったので、おそらく関連する別の研修か何かで、そういう助言があったのかもしれません。多分その意味は、「教師の主観でものを言わない」「決めつけや批判的なことを言わない」ということだと推察しました。もちろん、確かに大切なポイントだと思います。

それでも私は、ちょっと「引っかかった」のです。

「事実のみ」ならば「客観的」というわけではありません。たとえば、新聞記事は「客観的」か? ちがいます。 「どの事実を取り上げるか」、それじたいが、その人の主観なのです。受け取った人は、伝えられた「事実」をもとにその人が何を伝えたかったかという「意思」を読み取るわけですから。

発達障害の子どもたち、・・・・とくに集団行動や学習で困っている子どもたちについて、学校の先生から親御さんに伝えられる「事実」の数々は、想像がつきます。

「Aくんが、おともだちをたたきました」「Aくんが、ものを投げました」「Aくんが、ほうきを振り回します」「Aくんが、授業中でも立ち歩きます」「Aくんは、ささいなことでも泣いて怒るんです」

「Bくんは、忘れ物が多いです」「Bくんが、物の片付けが上手にできないようです」「Bくんが、連絡帳を書きません」「Bくんは、文字の読み書きが定着しません」

・・・・きっと、Aくんも、Bくんも、ちゃんとできていることや、うまくいっている時間も、いろいろとあるはずなのですが、それは先生から見て「取り上げるべき事実」ではないことが多くて、どうしても、気がかりな子の親御さんに伝えなければならないと考える「事実」は、山のような「問題」になってしまうものです。悪意なく、いえ、むしろ、良心から。

ただ、それを伝えられた親御さんの側からすると、突きつけられた事実をどう受け取るか・・・・。「うちの子は、乱暴者だ」「うちの子は、ちゃんとできない」、それが親御さんから見たお子さんに対しての見方と一致するかしないかはさておき、少なくとも「学校ではそう見られている」ということは嫌というほど感じるでしょうから、けっこうきついものだと想像します。

それも繰り返し重なれば

先生から「ちょっと、お話が」と呼び止められたり、学校から電話がかかってきたりするたびに、「うちの子がまた何かやらかしたのでは」とビクッとしてしまうでしょうし、だんだんと、うんざりし、焦り、追い詰められていくでしょう。

親御さんが追い詰めらて、当の子どもにプラスになることはないですし、かえって子どもまで追い詰められて、逆に問題が増長してしまうことも少なくありません。

だから、「事実のみを伝える」という方針は、ある意味正解ですが

先生が「事実」をどう見ているかによっては、こじらせる可能性もあるのではないかと、それが「引っかかった」ところだったように思います。

ところで、最近読んだ漫画が、

こちら↓↓↓

漫画家ママの うちの子はADHD (こころライブラリー) 漫画家ママの うちの子はADHD (こころライブラリー)
価格:¥ 1,470(税込)
発売日:2009-06-26

ADHDのお子さんと、その親御さんの「悩み」が「悩み」でなくなっていくまでのプロセスが、お母さん目線で描かれていて、たぶん当事者のご家族には共感されるお話だと思います。

また、最後の田中康雄先生の解説も的確でわかりやすいので、必見。

私はあえて、これ先生方にお勧めしたいなぁ。

先生方が、ただ「事実を伝える」でおしまいにするのではなく、

正しい理解に基づいた助言や提案を示せること、

親御さんがどんな気持ちでこれまでその子を育てていらっしゃったかを想像できることが、

きっと親御さんとの望ましい連携、協力体制をつくっていくための土台になると思うからです。

先生にお勧めの本といえば、こちらもどうぞよろしくお願いしますね。先生が明日からできること。

はるえ先生とドクターMの苦手攻略大作戦―発達障害のある子にもない子にも役に立つ

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