「聞いたら怒られる」と思っていたんだ・・・・

JR中野駅。乗り換えついでにキオスクで飲み物を買っていたら 背後で「ジャマなんだよ、ババア!」と怒声がして、ビクッと振り返ってしまいました。 怒鳴られていたのは、大きな荷物を引きながら右往左往していた年配の女性。 たしかに、乗り換え客でごった返す駅のコンコースで、人の流れに乗れずにキャスター付きのバッグをずるずる引きずりまわしている様子は危なっかしい限りですが、 おそらく地方から出てこられたのでしょう、 電光掲示の案内を見ても、何番線に向かえば良いのか迷っているようです。 思わず「どちらに行かれるんですか?」と声を掛け、 「あぁ、西荻窪でしたら、このエスカレーターを上がって6番線に来た最初の電車に乗ってください。その次の電車は、西荻窪には止まらないので気をつけて」 と、案内しました。 親切とか思いやりとか、そういう次元ではないんですよね。 旅好きだった私は、国内外問わず各地で、そのおばさんと同じような状況に置かれ、 行き先が分からずオロオロしていたことなど数知れず、 で、そういう時には見知らぬ人から「どちらまで?」とか“Can I help you ?” と声を掛けてもらい、助けられてきました。 そんな経験をした町は、なんとなく良い街に来たと思うし、好きになるけれど、 嫌な思いをすると、ずっとそこは、嫌な場所になり続ける。 あのおばあさんにとって東京が、怒鳴りつけられた嫌な場所ではなく、ほんのちょっぴりでもホッとした思い出とともに記憶に残ってもらえたらな。 で、そん…

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もう一つの『苦手攻略大作戦』

「あのさ、ほら、船とかから、カチカチ光、やるやつ、あれ、ほら・・・・」 と、Bくんが何かを言わんとしているのだけど、要領を得ません。 「灯台?」 「ちがう、じゃなくて、あれだよ、ほら・・・」 「ごめん。わからない・・・」 するとBくんは、「先生、紙かして」と言って、絵を描きながら 「こうやって、光で、“バカ”とか送るんだよ」 「あー、わかった! モールス信号だ」 (私は知らなかったのですが、「ポニョ」にそういうシーンがあるらしいです) モールス信号はさておき、そんな出来事があった昨日、私はあることに気付いてちょっと感激していたのでした。 言葉でうまく説明できないBくん、思うように伝わらないと決まって、「もう、いい!」と諦めてしまう子でした。 その彼が、自分から紙に絵を描いて伝えようとしたことが、すごく私には嬉しかったのです。 実は、遡ること3カ月、昨年秋に私は、Bくんの「自分説明書」というものを作りました。 内容は、言ってみればBくん専用の『苦手攻略大作戦』。 作り始めたら、ついつい凝りすぎてしまって、我ながら自信作♪ 「これはね、先生がBくんのために心をこめて作った、世界にたった1冊しかない本だよ」 と、ちょっと大げさに、いかにもありがたいもののように、恭しくそれを手渡し、一緒に読んであげると、Bくんは食い入るように見ていました。 今年に入って、Bくんの学習に取り組む態度がずいぶん変わってきたと、感じていました。以前はアンダンテにも半ば嫌々通っていて、80分の授…

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この実話は、きっとどの学校にも。~書籍紹介「うちの子はADHD」~

もうだいぶ前のことですが、ある教員研修で「保護者への対応のしかた」というテーマの講座を受け持ったことがあります。 どこの地域でもたいがい、似たような研修をやっているようですね。 「そんな話、私できません・・・」と、依頼を受けた時は申し上げたのですが、発達障害のお子さんへの親御さんに対してどのように対応するか悩んでいる先生がたくさんいるので・・・・云々の説得もあり、断れるような状況でもなかったこともあり、お引き受けしました。案の定、大した話もできなかったと反省いっぱいの苦い体験ではありますが、最近ときどき、その時に引っかかった感覚が、再び胸をよぎります。 参加していた先生方に、気がかりな子の親御さんにお話しするとき心がけていることを書いてもらったところ 「事実のみを、ありのまま話す」 という回答が挙がりました。 何人かの先生が、同じようなことを書いていらっしゃったので、おそらく関連する別の研修か何かで、そういう助言があったのかもしれません。多分その意味は、「教師の主観でものを言わない」「決めつけや批判的なことを言わない」ということだと推察しました。もちろん、確かに大切なポイントだと思います。 それでも私は、ちょっと「引っかかった」のです。 「事実のみ」ならば「客観的」というわけではありません。たとえば、新聞記事は「客観的」か? ちがいます。 「どの事実を取り上げるか」、それじたいが、その人の主観なのです。受け取った人は、伝えられた「事実」をもとにその人が何を伝えたかったかという「意思…

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