「音楽の時間に耳をふさぐのをやめさせたい」というのを、やめさせたい。(3)

前々回、前回から続いています。 私たち人間の聴覚は、とっても都合よくというか、うまいことできていて、例えば居酒屋みたいなザワザワした中でも、話している相手の声をちゃんと選択して聞き取り、関係のない他人の会話やガチャガチャいう食器の音などは耳に入っていない・・・・というか、聞こえていても意識には入っていませんよね。 こういう人間の聴覚の機能は、「カクテルパーティ効果」と言われています。 自閉っ子たちと付き合っていると、このカクテルパーティ効果が、うまく働いていないように見える時があります。名前を連呼されても振り返らなかったり、先生の説明よりも遠くの踏み切りの音に強く関心を示していたり・・・・。 で、前出のヘッドセットの話にもどりましょう。 マイクは人の声もBGMも同レベルで拾い、そしてこのイヤフォンはそれらの全部(しかも雑音まで含めて)を、耳穴の入り口から注ぎ込む。だから、聞きたい音と無視したい音の選択の余地はなく、非常に不快に感じたのだと思います。 ところが今どきの携帯電話は、聴覚のカクテルパーティ効果に近い機能を応用し、駅などの雑踏の中で話しても通話している人の声だけを聞き取りやすくしているものもあるそうですし、受話器と耳との間に多少の距離がありますから、人間の耳も受話器から聞こえる音のうち、人の声を選択して聞いているのかもしれません。あるいは、「BGMにかかっている音楽、聞こえる?」と言われたら、その曲に耳を澄ますこともできます。 これは本当に想像に過ぎませんが、ひょ…

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「音楽の時間に耳をふさぐのをやめさせたい」というのを、やめさせたい。(2)

前回のつづきです。 ←これ、何だかわかりますか? ご存知の方には説明不要かと思いますが、これ、スカイプ用に購入したヘッドセット・・・マイクとイヤホンが一体化したもので、こんなふうに耳にはめて使用します。→ 「スカイプ」を私が説明するというのも無謀な話なのですが、要するにインターネットの回線を使って電話みたいにお話できるシステムで、国内はもちろん世界のどこにかけても(?)通話料金タダ!  海外在住の知人や駐在経験のある友人たちから教わって私も始めたのですが、かなり便利で面白い一方、少々難点をいえば、音質が今ひとつ。電話に比べると、ザーザープチプチと雑音が入るし、時々途切れたりします。でもまぁ、国際電話料金がタダになることを考えれば、我慢の範囲内ではありますが。 とはいえ、このワイヤレスヘッドセットをつけて通話をすると、ノイズがダイレクトに耳に入ってくるので、ちょっとつらいのです。 さて、本題に入りましょう。 先日、このヘッドセットで友人とスカイプ通話をしていたときのこと。 友人の部屋でかかっているBGM(なぜかユーミン)が、友人の声にかぶさって話が聞き取れないどころか、ノイズが増して、イヤホンから聞こえてくる音がとても耳障りでした。 そこで私は思わず、「ねぇ、音楽がうるさい・・・」と言ってBGMを止めてもらおうとしました。 すると、友人は何を思ったのか 「あれ? ユーミン嫌いだっけ?」と言って、BGMを止めるのではなく、洋楽に切り替えたのです。 余計にうるさい! ち…

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「音楽の時間に耳をふさぐのをやめさせたい」というのを、やめさせたい。(1)

新学期ですね。 先生の新しいクラスに、「配慮が必要な子」はいますか? 今年度の巡回相談は、まだ始まっていないので、すっかりネタ切れを起こしている私ですが、最近ひょんなことからネタが降ってきました。 以前に触れたことのあるテーマですが、とても大事なことなので、もう一度べつの切り口からお話しようと思います。 それは、「耳ふさぎ」。 去年も、複数の学校で先生からの相談として話題に挙がってきました。 「音楽の時間に耳をふさぐのをやめさせられないだろうか?」 無理やりやめさせるのは、絶対にやめてあげてください。 耳をふさぐなんて、誰にも迷惑をかける行為ではないですから、先生方も何でまた、それをやめさせたいと思うのか・・・? と、これを読んで疑問に思われる方もいるかもしれませんが、そのあたりがまた事情の複雑なところでして。 おとなしく耳をふさいでいるのであれば、先生だって「どうしたのかな?」と気にかける余裕ぐらいあるのだと思うのです。 問題は、ただ耳をふさぐだけではないケースが多いということ。 耳をふさぎながら、悲鳴を上げる、怒鳴る、叫ぶ、机の下に隠れる、部屋を出て行く、走り回る、音源(ピアノだったりスピーカーだったり、人間だったり)を叩く蹴るなど攻撃する・・・・。耳ふさぎに付随する行動が尋常ではないので、ついつい「こら!やめなさい!」と叱ってしまいます。 でも、それを叱っても解決にならないし、耳ふさぎを無理にやめさせるのは、解決どころかもっと悪い事態を招きかねません。 …

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