2007年04月20日

「音楽の時間に耳をふさぐのをやめさせたい」というのを、やめさせたい。(3)

前々回前回から続いています。

私たち人間の聴覚は、とっても都合よくというか、うまいことできていて、例えば居酒屋みたいなザワザワした中でも、話している相手の声をちゃんと選択して聞き取り、関係のない他人の会話やガチャガチャいう食器の音などは耳に入っていない・・・・というか、聞こえていても意識には入っていませんよね。

こういう人間の聴覚の機能は、「カクテルパーティ効果」と言われています。

自閉っ子たちと付き合っていると、このカクテルパーティ効果が、うまく働いていないように見える時があります。名前を連呼されても振り返らなかったり、先生の説明よりも遠くの踏み切りの音に強く関心を示していたり・・・・。

で、前出のヘッドセットの話にもどりましょう。

マイクは人の声もBGMも同レベルで拾い、そしてこのイヤフォンはそれらの全部(しかも雑音まで含めて)を、耳穴の入り口から注ぎ込む。だから、聞きたい音と無視したい音の選択の余地はなく、非常に不快に感じたのだと思います。

ところが今どきの携帯電話は、聴覚のカクテルパーティ効果に近い機能を応用し、駅などの雑踏の中で話しても通話している人の声だけを聞き取りやすくしているものもあるそうですし、受話器と耳との間に多少の距離がありますから、人間の耳も受話器から聞こえる音のうち、人の声を選択して聞いているのかもしれません。あるいは、「BGMにかかっている音楽、聞こえる?」と言われたら、その曲に耳を澄ますこともできます。

これは本当に想像に過ぎませんが、ひょっとすると、うるさいのが苦手で音楽の時間に耳をふさいでしまう自閉っ子は、あのヘッドセットに近い耳をしているのかなぁ・・・?なんて、思ったりしました。先生のピアノ+子どもたちの(決して美しいハーモニーとはいえない)歌声に絶えられない。ましてや、鍵盤ハーモニカやリコーダーの一斉練習で、みんながピーコガーコそれぞれに音を鳴らしている、あの騒音は、私たち以上に苦痛に感じるのではないでしょうか?

そう考えてみると、「耳をふさぐのをやめさせる」という指導が、百害あって一利なしということは、納得いただけると思います。信頼関係も壊すし、問題行動も引き出すでしょう。だって、恐ろしい苦痛を味あわせる人を好きになれますか? 怒鳴ったり暴れたりするのは、その子が、耳をふさいだり「うるさい」と“言葉で”訴えるという第一段階での防衛手段が通じないと思ってしまっているからかもしれません。

具体的に、どうしたらいいのですか? というのは、その子の状態と条件のなかで、先生方にいろいろ工夫していただくしかありません。ヤ●ハの音楽教室などのグループレッスンでは、個別に練習する時はヘッドフォン使いますが、学校ではそんな予算がないといわれるでしょうね。。。ピアノやスピーカーから離れた席を選んであげるとか、30人40人の子どもが一斉に歌ったり楽器を鳴らしたりする機会を減らし数人ずつ音を出すようにするとかなら、とりあえず手をつけられるのではないでしょうか?

それから、聴覚過敏はいろいろなタイプがあることも、先生方はぜひ覚えておいてください。「うるさい音」「大きい音」に限らず、特定の音や声が苦手な子もいます。あと、「突然」なる音もパニックになりやすいですね。できるかぎり予告してあげたり、安心させるために音の正体を教えて(可能なら見せて)あげてください。

気づけばランキングトップ10圏外に落ちていました。やる気も下がり気味・・・・?

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posted by はるえもん at 11:22| Comment(10) | TrackBack(0) | (旧)授業 | 更新情報をチェックする

2007年04月10日

「音楽の時間に耳をふさぐのをやめさせたい」というのを、やめさせたい。(2)

前回のつづきです。

Headset_1 ←これ、何だかわかりますか?

ご存知の方には説明不要かと思いますが、これ、スカイプ用に購入したヘッドセット・・・マイクとイヤホンが一体化したもので、こんなふうに耳にはめて使用します。→Photo

スカイプ」を私が説明するというのも無謀な話なのですが、要するにインターネットの回線を使って電話みたいにお話できるシステムで、国内はもちろん世界のどこにかけても(?)通話料金タダ!  海外在住の知人や駐在経験のある友人たちから教わって私も始めたのですが、かなり便利で面白い一方、少々難点をいえば、音質が今ひとつ。電話に比べると、ザーザープチプチと雑音が入るし、時々途切れたりします。でもまぁ、国際電話料金がタダになることを考えれば、我慢の範囲内ではありますが。

とはいえ、このワイヤレスヘッドセットをつけて通話をすると、ノイズがダイレクトに耳に入ってくるので、ちょっとつらいのです。

さて、本題に入りましょう。

先日、このヘッドセットで友人とスカイプ通話をしていたときのこと。

友人の部屋でかかっているBGM(なぜかユーミン)が、友人の声にかぶさって話が聞き取れないどころか、ノイズが増して、イヤホンから聞こえてくる音がとても耳障りでした。

そこで私は思わず、「ねぇ、音楽がうるさい・・・」と言ってBGMを止めてもらおうとしました。

すると、友人は何を思ったのか

「あれ? ユーミン嫌いだっけ?」と言って、BGMを止めるのではなく、洋楽に切り替えたのです。

余計にうるさい!

ちょっと想像してみてください。

一人の人の声だけでも、ザーザー雑音が入るのに、加えてBGMは人の声以上にしっかり向こうのマイクが拾ってこちらに送られてくるのですから、雑音は2倍にも3倍にも増幅されてイヤホンから耳に入ってくるのです。ちょうど、チューニングの合っていないラジオをイヤホンできいている感じです。

この上ない不快感を覚えて、イラついてきた私。

「そうじゃなくて、音楽止めてくれる?」 少々語調が荒くなってきました。

けれども、相手は雑音入りのイヤホンで聴いているわけではありません。だから、好きな音楽を「うるさい」「止めて」と言われたのは心外だったようです。

あくまでも、「趣味」の問題だと思ったのでしょう。

「ああ、じゃあ、この曲は好きよね?」

友人は気を利かせたつもりなのでしょうが、「この曲」も何も、ヘッドセットから聞こえるそれは、もはや「音楽」ではなく「騒音」。何の曲かなんて耳を澄ますどころの騒ぎではないし、相手の声もノイズ化して聞き取りにくいし。苛立ちはつのるばかりで「はぁっ?!」と言ったら、あろうことか相手は、音楽がよく聞こえないのだと思ったらしく、BGMのボリュームをさらに上げて、

「ほら、きこえる?」

*‘@|¥~?#%$”!’~~~~~~!!!!!

イヤホンから耳へと注ぎ込まれる騒音に、脳天を突き破られるかと思いました。

パニック状態になって、ただヘッドセットをはずせばいいんだということさえ考え付かず

気づけば私はぶちきれて叫んでいました。

「だから止めてって言ってるでしょっっ!!!」

ぴたっ。

ようやく、BGMが止まりました。

私は、大騒音の不快感から開放されると、次に沸いてきたのは怒りでした。

今になって冷静に考えてみれば、全ての元凶は、その騒音であり、ヘッドセットのイヤホンの性能の限界だったのでしょうが、そのとき私が怒りの矛先を向けたのは、友人でした。

「なんで止めてっていってるのに、すぐに止めてくれなかったのっ!」

友人は、まだ事情が飲み込めていなかったようでした。

「はるえって・・・・・音楽きらいなの?」

あぁ、もしかしたら私は、自閉っ子の聴覚過敏の辛さを疑似体験できたのかも・・・・そう思ったとき、友人への怒りは感謝に変わったのでした(?)

続きは次回に。

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posted by はるえもん at 19:16| Comment(4) | TrackBack(0) | (旧)授業 | 更新情報をチェックする

「音楽の時間に耳をふさぐのをやめさせたい」というのを、やめさせたい。(1)

新学期ですね。

先生の新しいクラスに、「配慮が必要な子」はいますか?

今年度の巡回相談は、まだ始まっていないので、すっかりネタ切れを起こしている私ですが、最近ひょんなことからネタが降ってきました。

以前に触れたことのあるテーマですが、とても大事なことなので、もう一度べつの切り口からお話しようと思います。

それは、「耳ふさぎ」。

去年も、複数の学校で先生からの相談として話題に挙がってきました。

「音楽の時間に耳をふさぐのをやめさせられないだろうか?」

無理やりやめさせるのは、絶対にやめてあげてください。

耳をふさぐなんて、誰にも迷惑をかける行為ではないですから、先生方も何でまた、それをやめさせたいと思うのか・・・? と、これを読んで疑問に思われる方もいるかもしれませんが、そのあたりがまた事情の複雑なところでして。

おとなしく耳をふさいでいるのであれば、先生だって「どうしたのかな?」と気にかける余裕ぐらいあるのだと思うのです。

問題は、ただ耳をふさぐだけではないケースが多いということ。

耳をふさぎながら、悲鳴を上げる、怒鳴る、叫ぶ、机の下に隠れる、部屋を出て行く、走り回る、音源(ピアノだったりスピーカーだったり、人間だったり)を叩く蹴るなど攻撃する・・・・。耳ふさぎに付随する行動が尋常ではないので、ついつい「こら!やめなさい!」と叱ってしまいます。

でも、それを叱っても解決にならないし、耳ふさぎを無理にやめさせるのは、解決どころかもっと悪い事態を招きかねません。

音楽の時間に限りません。放送のスピーカー音がだめな子、赤ちゃんの泣き声や小さい子の声がだめな子、掃除機の音がだめな子、工事の音がだめな子、・・・・特定の音が苦手とか、大きな音・声が苦手な子は、自閉っ子に多くいます。

まず、大前提として、自閉っ子やアスペっ子が耳をふさいでいたら、聴覚過敏があるのかな、と察してあげてください。

自閉症は「社会性の障害」とか「コミュニケーションの障害」という説明が一般的なので、聴覚過敏・感覚過敏のことを忘れがちですが、私は、自閉症は「脳機能の障害」という認識が大事ではないかと思います。目から耳から、あらゆる感覚器官から入ってくる情報を、私たちと同様に受け止められていない可能性を推察してあげる必要があるのです。

専門用語が散らばり始めたら、このブログらしくありませんので、

次回に、わかりやすくお話を続けていきましょう。

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