2007年09月25日

メモも指計算も「外部メモリ」~覚える・覚えている・思い出す・自動化する5

記憶の話を書き始めたら、落としどころを見失いつつあります(^ ^;) →記憶編まとめ読みはこちら

脳機能も筋肉と同じで、トレーニングである程度の向上が期待できるそうです。(で、「脳トレ」が流行る。)

だから、「記憶」に弱さを抱える子も諦める必要はなく、本人が強みを生かし不得意カバーするような学習スタイルを獲得したり、適切なやり方で努力できるように導いていければ・・・・と思うのですが、そのあたりの話は、いずれまた機会があればということにします。

このブログでは「先生が明日からできる」支援について考えましょう。

記憶の主な種類について色々書いてきたこれまでの話をちょっと念頭においてみると、「記憶」がらみのトラブルから学習に躓いている子どもにどんな手立てが考えられるでしょうか?・・・・・たぶん、限りなくあると思いますが、たとえば

「視覚的な記憶<聴覚的な記憶」だなぁ、と思われる子に漢字を覚えさせるとき、ただ何度も書き写させるのではなく「ノかいて、横三本、カーブでつなげて最後にはねる(手)」とか「てへんに寺で『持』」といった、言語的な意味づけを添えてあげる。

逆に「視覚的な記憶>聴覚的な記憶」だとしたら、言葉での丸暗記よりも図や絵などと合わせて示したほうが憶えやすいかもしれない。

といったような例は、定番中の定番ですからお聞きになったことのある先生も多いですよね。

さらに、私の出会ってきた子どもたちのエピソードも挙げてみますね。

*九九がなかなか憶えられなかったAくん。たったいま読んで練習した段でも、復唱できない・・・・。う~ん、短期記憶に入らなければ、長期記憶にも移しようがない。

そこで、一つの段を3つずつに分けてみました。たとえば、6の段をいっぺんに憶えられないなら、「まずは6×1=1、6×2=12、6×3=18の3つだけ憶えてみよう!」と。

これAくんにはなかなか効果があって、そのやり方で憶えた段は頭に入ったようです。短期記憶に入る量は平均7でしたから、もっと少ない子がいてもおかしくない。だとしたら、憶えるのが苦手な子には「少しずつ憶える」ように工夫するのも、一つの手かもしれません。

あるいは、

*繰り上がり・繰り下がりある暗算をする時に指を使ったり、比較的簡単な計算でも必ず筆算をするBくん。計算の意味も手順も理解していますし、分数や小数の四則計算だってできます。ただ、おそらくワーキングメモリーに弱さを抱えているのでしょう。だから、指や筆算は彼にとって「外部メモリ」の役割をしているのですね。どうか先生には、そのことを理解して「もう○年生なんだから指を使わずにできないと」とか「それくらいの計算、暗算でやりなさい」などと強要しないでほしいのですが・・・・。

というわけで、記憶に弱さを抱える子へのアプローチのポイントを整理しておきましょう。

  • その子にとって覚えやすい方法をみつけてあげる。(頭に絵で思い浮かべる、言語化するなどその子の得意な種類の記憶をいかす。視覚支援や言葉での意味づけをしてあげるなど) →語呂合わせなども有効。
  • 覚えられる量に配慮した教え方や指示、説明をする。(少しずつ提示する。短いフレーズに置き換えるなど) →割り算の筆算「たてる・かける・ひく・おろす」なんていうのもそれですね。また、複雑な指示は短く簡潔な言葉で。
  • 必要に応じて、「外部メモリ」的な手段の活用を促す(メモを取ることを勧める。思い出せない時はヒントカードや九九カードなどを利用) →テストも、選択肢があることで答えられる場合もあります。想起しやすくなるからでしょうね。
  • 憶えることを苦行から楽しみにする工夫(好きなものや知っている身近な物事に結びつけるなど) →覚えるのが苦手なほど、練習が必要。でも、覚えるのが苦手な子ほど、練習は苦痛なのです。その悪循環をどう断ち切るかが支援の要!

ここまで具体的に書いたのは久しぶりかも。先生方には、この範囲にとどまらず、もっと色々な方法で支援を試みてほしいなぁと期待しています。「こんなやり方もあるよ」というアイデアがある先生は、コメント欄にどしどしお寄せくださいませ。

なんとかたどり着いた「記憶編」まとめ。どうぞ1クリックを~。

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※参考文献 "The Mind That's Mine"  Dr.Mel Levine

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2007年09月16日

ビジュアル効果は明らか?~覚える・覚えている・思い出す・自動化する4

先日のM養護学校での研修の時に、参加者の皆さんにちょっとした記憶テストをしてもらいました。

15個の単語を提示し、そのあと120秒間で何個思い出せるか書き出してもらうというものなのですが、提示のしかたが次のようにかわります。

①音声での提示 ②文字での提示 ③音声と文字を同時に提示 ④音声と文字と絵を同時に提示

すると、結果は次のようになりました。(29人の平均点)

①8.4点 ②7.8点 ③8.6点 ④10.7点

データとしては数も少ないですし、厳密な実験・統計ではないのですが、それでも④でグンと平均点が挙がっているのは、参加していただいた皆さんにも実感していただけたと思うのです。

つまり。

「口で説明するだけ」よりも、「書いて見せるだけ」よりも

「絵や写真を添えて」示す方が、記憶に入りやすいみたいだぞ。

と。

これ、どんな授業をしていくか、どんなふうに指示したり説明したりするか、あらゆる場面にダイレクトに関わってくるデータだと思いませんか?

(「たしかに、新聞も写真入の記事のほうが印象に残るからなぁ」と、副校長先生も休憩時間におっしゃっていました。)

で、もう少し詳しく見てみると、29人中

①の方が②よりも成績が良かった人が15人

②の方が①よりも成績が良かった人が8人

残りは①と②の得点が同じ。

つまり、「耳から聞いて覚える方がいい人」と「目で見て覚える方がいい人」がいて、それは人それぞれ違うわけだから、聴覚的にも視覚的にも、両方から訴えるような授業や指示ができるといいですね・・・・・というオチになるはずだったのですが、

想定外のことが起きて、ちょっと焦りました。

③の「音声と文字」を同時に提示したときに、成績が下がった人が続出。。。あれれ?

目から覚える人、耳から覚える人がいるわけだから、目と耳と両方に訴える提示をすれば効果倍増だろうという私の予想は裏切られ、③の平均点は思ったほど伸びなかったわけです。

これについて、同僚とあーでもないこーでもないと話したのですが、もしかすると、「両方同時」に提示されると、得意な方の記憶の機能を邪魔する何かが働くのかもしれませんね。。。

でもまてよ。もしそうだとすると。

「学校の授業にしろ、講演のプレゼンにしろ、文字と音声を同時に提示することって多いよねぇ・・・・」

もしこの結果が確かなものならば、「覚える」ためには「読みながら聞く、聞きながら書く」より、読む時間と聞く時間を別々に確保した方がいいのかもしれません。

これはちょっと気になるところなので、来月ある別の研修でも同じ傾向が出るかどうか、試させてもらいたいと思います。

記憶編、迷走しつつも続きますが、次回は、またまた研修報告の予定です。

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2007年09月14日

ラーメン屋のおかみさんの場合~覚える・覚えている・思い出す・自動化する(オマケ)

今日は、まったくの余談です。

前回、映画「タンポポ」に登場するラーメン屋を例に「ワーキングメモリー」について考えてみましたが、ランキングは落ちる一方・・・・。(笑)

あまのじゃくは、ラーメン屋ネタを引っ張りたくなりました。

さて、今日のお昼はいつもより時間があった私、職場の近くの行列のできるラーメン屋に並ぶことにしました。ここは、知る人ぞ知る名店。カウンター6席のみの小さな店をご夫婦(?)で切り盛りしています。当然、伝票は使わず、注文はお二人のワーキングメモリにインプット。レジもなくて、蕎麦ぼうろの缶から現金を出し入れする。なんか「昭和」を感じさせる雰囲気が大好きです。

私が列の先頭に来た時、後ろにはあと2人並んでいました。毎度のことですが、おかみさんが外に出てきて「ご注文はもうお決まりですか?」と、きいてきました。

私「ラーメン」、次の人「もやしめん」、その次の人「タンメン、チャーシューのせて」。

おかみさん、店内に戻ります。おやじさんは、麺を湯掻いたり野菜やチャーシューを切ったりする手を休めずに、おかみさんから3人の注文を聞いている様子。ちらっと窓越しに外をうかがい、そしておかみさんに何やら声をかけました。おかみさんは再び外に出てきて私に言いました。

「ラーメンでよかったんでした・・・・?」

「ええ、ラーメンです」

そう答えながら、私はおやじさんとおかみさんの間にどんなやり取りがあったのかを察し、ドギマギしてしまいました。

実は、私はこれまでこの店では「タンメン」しか頼んだことがなかったのです。なにしろここのタンメンは絶品。一度食したら、やみつきです。もちろん、今日もタンメンを食べるつもりで来たのですが、並んでいるうちに突然気が変わったのです。「たまには違うものを食べるかな。こないだ『タンポポ』見たら、なんか定番のラーメンの気分だし」

私、常連という自覚はありませんでしたが、それでも顔を覚えられるには充分なほど、おやじさんの「長期記憶」に「あのお客さんはタンメンのお客さんのはず」とインプットされるほど、おかみさんが「もしかして私の聞き違い?」と不安になって確認に来るほど、タンメンを食べに通っていたのですね。。。

そのことを裏付けたのは、お勘定の時のおやじさんの一言。「今日は600円です」(タンメンは700円)

混乱させてすみませんでした(笑) ラーメンも美味しかったです。

えーと、学習支援に結び付けるには、あまりに強引でした。ラーメンが食べたくなった方は、召し上がる前にクリックしていってください(笑)

さて、記憶の話、続きは今週中に必ずアップしますので、お楽しみに。

ランキングが落ちると更新をサボる、なのか、更新をサボるからランキングが落ちるのか・・・・?

※参考文献 "The Mind That's Mine"  Dr.Mel Levine

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